産む性としての女性の身体機能にとどまらず、子育てにかかわる行動や経験の特性、またイデオロギーや制度として伝統的に女性に押しつけられてきた性役割、等の意味を内包する多義的な概念。
我が国で母性という言葉が初めて用いられたのは、母性保護論争のなかの与謝野晶子の「母性偏重を排す」ではないかといわれる。女性ならだれでももっている特性といった母性本能の神話性が、家父長制支配のイデオロギーであり近代社会の幻想であることは、バダンテールの研究で明らかにされた
我が国で母性という言葉が初めて用いられたのは、母性保護論争のなかの与謝野晶子の「母性偏重を排す」ではないかといわれる。女性ならだれでももっている特性といった母性本能の神話性が、家父長制支配のイデオロギーであり近代社会の幻想であることは、バダンテールの研究で明らかにされた
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母性とは
子を産み、育てる過程で形成される、母親としての性質をさすが、具体的意味内容が曖昧で漠然としているため、様々の価値や意味を付与されて、多義的に使用されている
1.女の存在理由としての母性
女が子どもを産む可能性をもつ性であるという特質を一方で賛美しつつ、他方で「女は子を産むべし」と規範化する思想。
2.育児理論からみた「母性」
子どもの人格形成にとって、最初の養育担当者とこども自身との関係が、きわめて重要な役割を果たすと考えられる。近代家族においては多くの場合、養育にあたるのが母親であることから、心理学者のなかには、養育者とこどもとのこの関係を「母子関係」、養育者がこどもに示す全体的保護と受容の姿勢を「母性」とよぶ人もいる。
3.集団・社会・文化論からみた「母性」
母が子に接する態度と父が子に接する態度とを対比的に抽象化し、それぞれを母性原理、父性原理と名付け、さまざまの文化をこの両原理との関係で分析しようとする文化論がある
4.生殖技術の発展と「母性」
最近における生命科学の著しい発達によって、人工受精や遺伝子操作などが技術的に可能な時代が訪れつつある。「代理母」などが現実化していく現状のなかで、卵子を提供する母と、子を産む母と、育てる母といった具合に「母」の概念が何を指示するのかということ自体が、問い直されざるをえない事態が発生する。それと同時に母ないし母性の権利は、国家権力との関係においてのみならず、科学技術との関係のなかで論じられなければならない段階が到来しつつある
ソース:2006年「新社会学辞典」
子を産み、育てる過程で形成される、母親としての性質をさすが、具体的意味内容が曖昧で漠然としているため、様々の価値や意味を付与されて、多義的に使用されている
1.女の存在理由としての母性
女が子どもを産む可能性をもつ性であるという特質を一方で賛美しつつ、他方で「女は子を産むべし」と規範化する思想。
2.育児理論からみた「母性」
子どもの人格形成にとって、最初の養育担当者とこども自身との関係が、きわめて重要な役割を果たすと考えられる。近代家族においては多くの場合、養育にあたるのが母親であることから、心理学者のなかには、養育者とこどもとのこの関係を「母子関係」、養育者がこどもに示す全体的保護と受容の姿勢を「母性」とよぶ人もいる。
3.集団・社会・文化論からみた「母性」
母が子に接する態度と父が子に接する態度とを対比的に抽象化し、それぞれを母性原理、父性原理と名付け、さまざまの文化をこの両原理との関係で分析しようとする文化論がある
4.生殖技術の発展と「母性」
最近における生命科学の著しい発達によって、人工受精や遺伝子操作などが技術的に可能な時代が訪れつつある。「代理母」などが現実化していく現状のなかで、卵子を提供する母と、子を産む母と、育てる母といった具合に「母」の概念が何を指示するのかということ自体が、問い直されざるをえない事態が発生する。それと同時に母ないし母性の権利は、国家権力との関係においてのみならず、科学技術との関係のなかで論じられなければならない段階が到来しつつある
ソース:2006年「新社会学辞典」
父性原理/母性原理とは
ユング心理学における母性概念と、松本滋の「父性的宗教と母性的宗教」の概念から示唆をうけて河合隼雄が作り上げた概念
母性原理は「包摂する」機能によって示される。その特徴はすべてのものを良きにつけ悪しきにつけ包み込んでしまうことで特徴づけられる。
ユングの言葉では
①狂宴的は情動性
②暗黒の深さである
①狂宴的な情動性とは、自然のままの衝動の動きの体現である
②暗黒の深さとは、何ものも区別しない平等性を体現することである
母性原理の肯定的な面は育み作り上げつものであり、否定的な面は飲み込み、しがみつき、死に至らしめるものである。
それに対して父性原理は「切断する」機能にその特徴がある。主体と客体、善と悪、上と下などを分類し、例えば子どもをその能力や個性に応じて類別する。したがって父性原理にも、強いものをつくりあげていく建設的な面と、逆に切断の力が強すぎて破壊に至る面とがある。
人間の心のなかのこの相対立する母性と父性の原理のバランスの取り方によって、その社会や文化の特性が作り出されていると考えられる
2006年出版 新社会学辞典より
ユング心理学における母性概念と、松本滋の「父性的宗教と母性的宗教」の概念から示唆をうけて河合隼雄が作り上げた概念
母性原理は「包摂する」機能によって示される。その特徴はすべてのものを良きにつけ悪しきにつけ包み込んでしまうことで特徴づけられる。
ユングの言葉では
①狂宴的は情動性
②暗黒の深さである
①狂宴的な情動性とは、自然のままの衝動の動きの体現である
②暗黒の深さとは、何ものも区別しない平等性を体現することである
母性原理の肯定的な面は育み作り上げつものであり、否定的な面は飲み込み、しがみつき、死に至らしめるものである。
それに対して父性原理は「切断する」機能にその特徴がある。主体と客体、善と悪、上と下などを分類し、例えば子どもをその能力や個性に応じて類別する。したがって父性原理にも、強いものをつくりあげていく建設的な面と、逆に切断の力が強すぎて破壊に至る面とがある。
人間の心のなかのこの相対立する母性と父性の原理のバランスの取り方によって、その社会や文化の特性が作り出されていると考えられる
2006年出版 新社会学辞典より